◆◇◆拓海side◇◆◇
マサトの家庭教師を始めて数週間。
正直、予想より遥かにハードだけど勉強はする必要ないくらいできているから全く問題ないだろう。
…それよりも一番の問題は、っと。
とにかく高校に進学するように説得してほしい、とマサトの両親に頭を下げられたのは、ほんの数日前のこと。
中学時代荒れ放題だったシュウが高校に入れたのは俺のおかげだと思っているらしく、すごく信頼してくれている。
たしかに勉強を教えたし、ノートも作ったけど…
シュウ自身がやる気を出して頑張ったから高校に行けたんだと俺は思ってる。
シュウは進学よりなにより、マサトがまた昔みたいに戻ってくれた方が嬉しい、と胸の内を明かしてくれた。
親と兄弟、できれば両方の望みを叶えてあげたいけど…こればっかりはマサト自身がやる気になってくれないとどっちも不可能なんだ。
事実、俺が何度ここに足を運んだってマサトはやる気になんてならなくて、
ほぼ毎日暴言を吐かれて、
ほぼ毎日追い返されるだけ。
それは…今日も例外ではない。