それから数分後。
暫く乱れた呼吸を整えていた朱里は、ようやく落ち着いたのか恥ずかしそうに俺の顔を見てニコッと可愛く笑う。
そして、目をキラキラ輝かせながら口を開いた。
「たっくん、私ね、将来の夢ができたの」
「将来の夢?」
「うん。たっくんとずっと一緒にいるのはもちろんなんだけど、それとは別にもうひとつ」
「へぇ、なんだろ」
「あのね、子供と関わる仕事したいなって思ってるんだ」
「子供と…」
聞いた瞬間、朱里にピッタリだと思った。
朱里は昔から子供が好きだし、子供からもすごく好かれるし。
だから子供に囲まれる仕事はきっと天職だろう。
小さな子と戯れる朱里を想像するだけで…可愛すぎて倒れそうになるのを必死に堪えた。
「たっくんは将来の夢とか就きたい仕事とか…ある?」
「んー、なんとなく大学に行って、それなりの企業に就職して…って漠然としたのしかないかも」
「私もそんな感じだったんだけどね。なんか急にこれだっ!って思っちゃって。夢があるって素敵だなって思ったんだ」
将来の夢、か。
朱里との未来だけは具体的に考えてきた俺だけど、どんな仕事に就きたいかは考えたことなかったかもしれない。
俺の天職って…何なのかな?
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