「そ、っか。今度から変わったことがあったらすぐ連絡するね」
「うん、絶対そうしてね。じゃあ…目、閉じて?」
目を、閉じる…?
よく分からないけれど、特別難しいことじゃないから言われた通り目を閉じてみる。
光のない世界で感じたのは、たっくんの手が私の肩に触れる感覚。
そして…耳元で響く、甘くて優しい声。
「…俺を不安にさせた罰で、1時間キスの刑」
「…えっ?んっ、」
囁かれた言葉に驚いて、思わず目を開けた時には…もう既に唇は重なっていた。
立ったまましていたキスだけど、交わる吐息と全身熱を帯びていく感覚に頭がクラクラして足に力が入らなくなってしまいペタリとその場に座り込んでしまう。
それでも…たっくんは唇を離してはくれない。
このまま1時間もキスするなんて嘘だよね?
そんなの…考えただけで心臓潰れちゃいそう。
「朱里、他のこと考えちゃダメだよ。俺のことだけ考えて…」
ほんの一瞬、唇が離れた隙に耳元に落とされたそんな言葉に今度は体中の力が抜けていくのを感じていた。
1時間キスの刑が下された理由は全く分からない。
けれど、とろけてしまいそうなほど甘いこのキスに…この時の私は本当にたっくんのことしか考えられなくなっていたんだ。