「なに、してるの…?」
「だっておかしいから。朱里がこんな時間にお風呂入るなんて」
「え?」
「俺が何年朱里のストーカーしてたと思ってるの?朱里はいつも夜ご飯のあと少し休憩してからお風呂に入ることくらい知ってるよ」
「…っ、」
そんな私の行動パターン全部知ってるみたいな言い方されると…
全てを見透かされているみたいで恥ずかしくなる。
「今日は子供達と公園でたくさん遊んで汚れちゃって…だから先に入っただけだよ」
「本当に?諒介さんに触られたからじゃない?」
そこでやっとたっくんの様子がおかしい理由が分かった。
先輩に触られたから帰ってすぐお風呂に入ったと思ったんだ…
不安そうな顔のたっくんには申し訳ないけれど、部屋に飛び込んでくるくらい心配してくれたことに少し頬が緩んでしまった。
「大丈夫だよ。触られてないから」
「はぁ…焦った…」
私の返しに、たっくんは心底ホッとしたような顔をするから私の頬は再び緩む。
いつもと違う時間にお風呂に入っただけで、こんなに心配するなんて思わなかった。
「ごめんね?先輩の家に行く前メールしようと思ってたんだけど、バイトの邪魔しちゃう気がして… 」
「朱里のこと邪魔だなんて思ったこと一度もない」
たっくんに真っ直ぐな瞳を向けられると、ちゃんと連絡しておけばよかった、と今更ながら後悔した。