“またストーカーになる”宣言の意味が分かったのはその日の帰り道、バイト先に向かう途中だった。
途中でバイバイするはずの道を通り過ぎ、いつまでも私の隣を歩くたっくん。
「どうしたの?こっちに何か用事?」と聞いたときにその答えが分かったのだ。
「え?たっくんも一緒にバイトするの?」
「うん。ユメちゃんにお願いしちゃった」
「な、なんで…?」
たっくんとのデート代を稼ぐためにバイトを始めたのに、一緒に働いたら意味ないような気が…
それに一緒に働いちゃったら小悪魔の凜ちゃんに色目使われてメロメロになっちゃうんじゃ…?
「朱里を守るにはそばにいるのが一番だから」
「私、たしかにドジだけど守ってもらわなくったって…」
「ハハ、ドジも守れるように頑張るよ」
「もしかしてストーカーってこういうこと?」
「朱里が好きすぎて一緒にバイトまでしちゃうとか完璧なストーカーでしょ?」
「もう、心配症にも程があるよ」
「朱里が可愛すぎるから彼氏に心配されてストーカーされるんだよ。反省してね」
「えっ…私のせいなの?」
「そう。ぜーんぶ朱里のせい」
こうしてなんだかよく分からないまま、たっくんも一緒にバイトをすることになってしまったのだった。