◆◇◆拓海side◇◆◇



まさか朱里がバイトしたがるなんて…

しかもファミレスなんて気が気じゃない。

どうしよう、今すぐにでも様子を見に行きたい。




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「…って、思いっきり見に来てんじゃねぇか。過保護もいい加減にしとけよ」

「だって朱里がバイトするなんて心配すぎて家だとご飯が喉通らない」

「はぁ?そんなんでよくバイトするの許したな…」

「まぁ、ユメちゃんが一緒だしね。それにここで働いてる男はオジサンばっからしいから」

「じゃあいちいち見に来んなよ」

「いいじゃん。たまにはリュウジと夜ご飯食べてあげよっかなーって思ったんだから」

「なんで上から目線!?」



しかし、絵に描いたようなおっちょこちょいの朱里がバイトなんて大丈夫…




ガッシャーン!パッリーン!


「ちょっと朱里さんっ!さっきから何枚お皿割れば気が済むんですかぁっ!」

「ううっ、ごめんね凜ちゃん…」



…じゃないよな、やっぱり。

奥から聞こえてきた音と声に、やっぱりか…とため息が漏れた。

はぁ…なんで朱里急にバイトなんて…




「あれ?拓海くんとリュウジじゃーん。来てくれたの?」

「よっ!過保護な奴の付き添いだけどな。…ってあれ?早川じゃん。おまえもここでバイト?」

「そう。俺もバイト探してたからさ。だから今日後藤に頼んだんだよね」



トレイにおしぼりとお冷やを乗せて持ってきたのはユメちゃんだった。

そして何故かその隣には、朱里にチョコを渡してたあの男がいた。