「はぁ…朱里めんどくさい」
「そ、そうだよね、ごめっ…」
やっぱり嫌われた。泣いたらますますめんどくさいって思われちゃうのに。
そう頭では分かっているのに、涙は止まってくれない。
「…俺、怒ってるんだよ」
「…うん」
「なのに、そんな風に言われて泣かれたらさ、可愛くて許しちゃうじゃん」
「え…?」
涙で滲む視界の中、フワッと感じた甘い香り。
次の瞬間、私はたっくんの腕の中にいた。
「ヤキモチってつまんないの?俺も妬いて怒ってたんだけど」
「え?私なにかした…?」
「思いっきりしたでしょ。男からチョコ貰った上に禁止してた上目遣いもしてた」
私をギュッと抱きしめるたっくんの腕に力が入ったのを感じた。
チョコ…?ああ、早川くんに貰ってたの見てたんだ。でも何でそれで妬くのかな?