「わ…たっくん手大きくなってるからびっくりしちゃって…背も伸びたし大人っぽくなったし、なんかドキッとしちゃった」
「え…?」
ドクン、ドクンと心臓が跳ね返りそうだった。
何年も見てきた朱里のそんな顔を見るのは初めてだったから。
朱里が俺にドキッとしてくれた。
朱里が俺に赤い顔をしてくれた。
これは…もしかしたら幼馴染み以上になれるかもしれない。
「朱里、俺の番号入れといたから」
「うん、ありがとう」
この次の日から、俺はほぼ毎日朱里にメールを送るようになった。
朱里の部屋の電気が付いた瞬間メールを送り、窓を開けてもらって話をする。
朱里がその日、どこで誰と何をしていたのか全て知りたかった。
だから言わないとハグしちゃうよ、なんて冗談混じりに言いながら毎日追及し続けたんだ。
本当、自分でも引いてしまうほどかなりしつこく構っていたと思う。
それでも朱里は俺の質問に答えてくれる。
毎日窓を開けてくれる。
俺…期待して頑張ってもいいのかな。
ウザくないかな、なんて思いながらもずっと朱里に構い続けた。