俺が再び朱里を追い掛け始めたのは中三の春休み。

その日、朱里は携帯片手に俺の部屋に飛び込んできた。

ノックもせずに入ってきたとこを見ると携帯を買ってもらえたのがよっぽど嬉しかったんだろう。



中学生になって初めて朱里が俺の部屋に入ったのがこの日だった。



「あ!たっくん、小学生の頃とベッド変えたんだね。寝転がってみよー」



完全に小学生の頃の俺と同じだと思ってる朱里のそんな無神経すぎる行動に冷や汗かいたのを覚えてる。

他の男の部屋でこんな行動しようもんなら一発で襲われる。

ただでさえ朱里は無神経、無自覚、無防備で隙だらけなのに。

絶対俺がそばにいないと…




諒介さんの影響を強く受けていた俺は、嫌われる覚悟でしつこく朱里のそばにい続けることを決めた。




「そうだ。たっくん、携帯の使い方教えて?説明書読んでも分からないの」




朱里は昔から機械に弱い。

だから分かりやすいようにゆっくり教えてあげていると、画面に触れる人差し指同士がぶつかった。




「あ、ごめ…」



謝りながら顔を上げた時…
朱里が赤い顔をしていてすごく驚いた。