◆◇◆拓海side◇◆◇
俺には子供の頃からどうしても欲しいものがあった。
「拓海、お誕生日のプレゼント何が欲しい?」
「うーん…お金!」
「拓海、サンタさんに何貰うの?」
「えっとねぇ…お金!」
今思うと、なんて可愛いげのない子供だったんだろうと自分でも思う。
それでも俺は毎年現金をプレゼントとして貰い続けていた。
そもそものキッカケは、子供の頃に行った親戚の結婚式。
当時3歳くらいだった俺の心を奪ったのは指輪交換だった。
愛を誓い合い、お互いの指に指輪を嵌める。
そんな儀式を見ながら子供心にすごくドキドキしたのを覚えてる。
その結婚式の影響もあって、その頃からもちろん朱里のことが好きだった俺はある日こんなことを言ってみたんだ。
『あかりちゃん、おおきくなったらぼくのおよめさんになってくれる?』
初めて朱里に想いを伝えたのがこの時だった。
好き、という言葉ではなくお嫁さんになって、というのがなんとも子供らしい。
『もちろん。だってあかりはたっくんがだいすきだもん』
こちらに振り向き、笑顔でそう答えてくれた朱里は…最高に可愛かった。