「これ誕生日プレゼント。フラれちゃうと渡せないからドキドキした」
公園からの帰り道、たっくんが綺麗にラッピングされた小さな箱を私に差し出す。
外灯の下でドキドキしながらその箱を開けてみると、ピンクゴールドの指輪が入っていて。
ところどころにキラキラが散りばめられていて私好みのデザインだった。
「うわぁ…可愛い……ありがとう」
「それは婚約指輪ならぬ結婚予約済指輪ってことでどうかな?」
「フフッ、なにそれ。素敵だね」
「でしょ?手、貸して」
たっくんは優しく私の手を取り、その指輪を左手の薬指に付けてくれる。
なぜだかピッタリ嵌まったその指輪にすごく胸がジーンとした。
「朱里…大好き」
「わ…私も…だ、い好き……」
くすぐったい。
美味しい食べ物の“好き”でも
お気に入りのお店の“好き”でも
自分好みの音楽の“好き”でも
こんなにくすぐったくなったりしないのに。
大切な人への“好き”はくすぐったくて恥ずかしくて…でもたまらなく幸せ。
“好き”という言葉はたった二文字の魔法の言葉。
「俺に大好きなんて言っていいの?」
「へっ…?」
たっくんは私の薬指に嵌まった指輪を愛しそうに撫でながら笑う。
「俺に溺愛されちゃう覚悟はできていますか?」
「はい、もちろん」
16歳になったこの日、たっくんは幼馴染みから私の彼氏になりました。