ポチッ。ポチッ。ポチッ。ポチッ。

気づけば夢中になってボタンを押していた。

けれど全ての項目のボタンを押し終わっても
特に何も起こらなかった。

こんなに興奮していたのは久しぶりでワクワクしていたのに、とショックだった。

「なんだ、イタズラかな……時間無駄にしちゃったよ。」

そう言ってまた走り出そうとしたその時


チーーーーーーーン。


電子レンジのような音がした。

音に気を取られていた次の瞬間隣にあるBOXから
1人の男性が出てきた。

とても顔立ちが整っていて優しそうである。

その男性は私の方に近づいてきてピタリと止まり

「叶美ちゃん、僕を作ってくれてありがとう。今日から僕は叶美ちゃんのお兄ちゃんだよ。名前は侑城。宜しくね。」

優しく微笑むながらそういった男性。

「叶美様が選択されました、理想の人間でございます。」

そういえばなんで名前を……。

この男性が私の理想の兄なんだろう。

「じゃあ僕は先に家に帰ってるね♪」

「ちょっ?!」

私の声を聞く耳も持たず、侑城という男性は私の家の方向へと歩いていった。

立ち尽くしている私に機械が

「只今の時刻、9時、9時。」

と言った。

そ、そう言えば!

「じ、時間!ないんだった!」

私はハッと思い出してこれまでにないくらい全力で走った。