自棄のようにも聞こえる彼の言葉に、

「そんな風に言うのだったら、私は結婚なんて……、」

そう言いかけるのを、

「それ以上は、何も口にしてはいけません」

と、彼が遮る。

「あなたは、既に侯爵様の婚約者なのです。軽率な思いなどは口に出されてはなりません……」

「……軽率な思い……」

呆然とくり返す私に、

「……お幸せに、おなりください……」

リュートはそう言うと、無理やりにも感じられる笑顔を作って、

「…さぁ、もうお戻りを……」

と、私の背中をそっと押し出した……。