……互いに黙り込んでいる中、噂をする声が耳に入ってくる。
「ねぇ、ジュリア様がご結婚をされるのなら、彼女付きのリュート様はどうされるのかしら?」
「本当に。彼がフリーになるのなら、私が貰い受けようかしら」
「あら、ぬけがけなんてずるいわ。彼なら私も欲しいくらいだわ。だってあの美貌……」
揶揄する女性たちの話し声とともに、向けられる好奇な目線に、
「……言わせておいても、いいの? あんなこと……」
彼の気持ちを察して、話すのに、
「……いいのです」
一言、そう答えて、
「……あなたがいなくなれば、私はどこへなりとも……」
そう続けた。