ーー侯爵からは離縁をされたこと、生まれた子供までも奪われて、家からは見放され地下室に入れられていたことを語った。
話す内に無意識に零れる涙に、彼が私の手を上からそっと労わるように握り締めてくれた。
「……サムが、あなたのところに行きなさいって、逃がしてくれたの……」
話の終わりに言って、涙を拭う。
「……庭師の彼が……あの人は、いつも私たちのことを見護っていてくれていましたからね……」
リュートが、昔を思い出すように言う。
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