毎日の食卓の場でも、なんの会話すらもなく、

「……この食事、あまり味が濃くはなくて美味しいですね」

私の方から話しかけると、

「…ああ」

とだけ、素っ気なく応えて、

「……おまえのために、薄い味付けにしたわけじゃない。たまたまだ…」

キースはそう付け加えた。

「そう…ですか…」

かつて彼が言ってくれた、『では今後は濃い味付けは控えるよう、シェフに伝えておこう』という優しげな気づかいがふと思い出された。

私は、そんな彼の優しささえないがしろにしてしまった……。