「ありがとう……リュート」

あてた私の手に、彼もきっと手を重ね合わせてくれるだろうことが、扉を隔てて目には見えずともわかる気がした。

伝わる熱を感じつつも、

「……さようなら……」

開くことはない扉に背中を向けるーー。

そのまま、振り返らずに歩き出す。

もう、私がここを訪れることは叶わない……。彼と、会うことももう……。

そう思うと、涙はとめどなく溢れた……。