「リュート、嫌よ…キースのところへは、今は帰りたくないの…」
リュートは涙をこらえる表情で、けれどその顔に無理やりな笑みを貼りつけて、
「……。……わがままをおっしゃらずに、さぁ…」
扉を引き開けると、私の身体を部屋の外へと出した。
閉められる寸前に、彼の手をグッとつかんで、
「……離れたくない……愛してるのよ……!」
叫ぶようにも言う。
「……いけません、お嬢様。お手をお離しください……」
引こうとする彼の手を、さらに強くつかむ。
「……じゃあ、最後に言って。……あなたも、私を愛してると……」