「……リュート、私を、抱い……」 言いかける口を、片手で覆って、 「……その先は、言ってはなりません。あなたはもう、人妻の身なのですから……」 リュートが、そっと私の身体を押し返す。 「……今日は、お帰りください、お嬢様」 「……嫌よ」 横を向いて拒むと、 リュートは、小さく息を吐いて、 「……私が書いた手紙を、出してもらえますか?」 それから、静かにそう言った。