「……それを、私が言ったとして、どうなると……どうにもならないではないですか…っ」
語尾に、悲哀を帯びた声音が混じる。
「……どうして…どうにもならないなんて……」
彼の頬に手を添えて、その深く青い瞳を覗き込む。
「……私には、あなたを奪い去る勇気などは、到底ないのです……」
力なく首を左右に振る彼に、顔を近づけて、
「……あ…っ」
その唇に、触れた。
「……いけません」
突き放そうとする彼に、さらに唇を押しあてる。
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