そんな彼の何気ない一言に、心が揺らいで隠せなくもなる。

「……リュート、私……」

その先を、なんて続けていいかわからなくて、ティーカップを持ち上げる。

「……ふぅ」と、湯気を吹いて、

「……ねぇ、今夜は泊まっていってもいい?」

と、カップの中を見たままで尋ねた。

「…え、泊まって……?」

戸惑いをはらんだ彼の声が返る。

「……だって、今度はいつ会えるか……」

言う私に、

「……いけません、お嬢様」

と、彼が告げる。