「……ねぇ、だけどリュート、あなたはここで何をしてるの?」

紅茶の一口を飲んで尋ねた。

「こんな山間の片田舎の街で……」

と、窓から見える山の連なるのどかな風景に目をやった。

「……そうですね、隠遁生活のようなものでしょうか…」

リュートが隣に腰を下ろして、同じように紅茶に口を付ける。

「隠遁って、まだそんな歳でもないでしょう? 」

私の問いに、リュートはうっすらと微笑んで、

「……私は、マスターからいとまを出された身なので、事実上の執事の道を絶たれたも同じなものですから……」

答えて、小さくため息を吐いた。