「お嬢様、ここへいらしたということは、私の書いた手紙をご覧になられたのでしょうか?」
「ええ」と、頷いた。
「そうですか…もしもという一縷の望みで書き置きましたが、本当に見つけていただけるとは……」
言って、目尻を指先で拭うリュートに、
「……あなたが何か残していってくれたものはないかと思って、部屋を探したのよ」
そう返すと、
「わざわざ探していただくなど、私としても嬉しい限りです……」
と、リュートは胸に片手をあてて、かつてと同じ優雅な所作で頭を垂れた。
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
読み込み中…