私は一体どれくらい泳いだのだろうか。

ここがどこなのかもわからない。

すると

「待っていたよ」

「気持ちが決まったようだね」

と洞窟で聞いた不気味な声がどこからか聞こえてきた。

「ええ」

「ならば会わせてあげよう」

「海の魔女に」

と声が聞こえたかと思うと、突然海の中が揺れ始めた。

「きゃっ!」

私は岩へとつかまった。

すると地面に巨大な穴が現れた。

中は暗く底が見えない。

「さぁ早く」

「こっちだ」

2つの声は穴の中へと消えていく。

「ま、待って!」

私は急いで穴の中へと進んだ。

真っ暗でほとんど何も見えない。

ある程度進んで振り返ると入り口は無くなっていた。

「もうすぐだ」

「もうすぐ」

と突然、開けた場所に出た。

すると

「よく来たわね、お姫様」

と低い女の人の声がした。

声のした方を見る。

そこには大きな人魚が立っていた。

サメのように鋭く冷たい目。

「あなたが海の魔女...?」

私がそう尋ねると

「人に名前を尋ねると時はまずは自分から名乗るのが礼儀だよ、お姫様」

とゆっくりと人魚がこちらへと泳いでくる。

恐ろしい。