「メリアさん」

と、珍しくここでリムが口を開けた。

「何?」

「今日は早く帰った方がいいかも知れません。嫌な相が出てますよ」

「え、嘘っ、ほんとっ!? やだ、あんたなんかに構ってるせいで死んだりしたら。じゃ、先に家帰るわ。またね」

さっきまで立っていた青筋もすっと消え、その代わりに顔を真っ青にしてメリアは花屋から出て行った。

メリアは絶対的にリムの占いを信じているのだ。

残されたリム以外の三人は驚いたようにリムを見つめている。

無口で無愛想なあのリムがロアを庇うなんて、明日は槍が降るか、地球滅亡するかも知れないと誰もが思っていた。

「何」

リムは目を細めて一言言った。

「あ、いや。ありがとうね」

ロアは引きつった笑みを浮かべてこう言う。

「あたしは別に。ただ、リンさんが苦しむだけです」

リムは独り言のように静かにこう言い、水やりに戻った。

三人は不思議そうにリムを見ている。

レオの心配は頂点に達した。

「リム」

リムは無表情でレオの方を向いた。

「今日、占いの館は何時からやってるんだ?」

「夕方、6時頃にお待ちしております」

「……分かった」

レオは頷いて仕事に戻る。

完全に取り残されたロアとライムは、顔を見合わせて首を傾げた。