一方、花屋では……。

「たっだいまー」

と、元気よく花屋に入ってくる女性。

「あ、メリアさん! お久しぶりです」

ライムはその女性に軽く頭を下げた。

「お久しぶり。弟は?」

「いるよ」

レジと言う一番目立つところにいるロアは、目を細めて姉を見つめる。

「いたのー! 気付かなかったわ」

「帰ってきて早々嫌味な奴だねぇ」

「ごめん、ごめん。ただいま」

「お帰んなさーい」

ロアは棒読みでこう言ってやった。

「ご無沙汰です」

掃除途中だったレオは、箒を持ったまま頭を下げる。

「お、やっぱりいた。イケメン少年」

メリアはにたにたと笑いながら、レオの頭をくしゃくしゃと撫でる。

「誰のことですか」

「君の他には、この紫の目をした憎たらしい男しかいないけど?」

「憎たらしいのは同じだろうが」

ロアはぶつくさ言いながら姉を睨んでいた。

なんと言うか、いつでもこの姉弟は姉弟ではないような雰囲気を漂わせているのである。

顔もそう似てないし、性格も全然違う。

まるで友達みたいな態度でいつでも接していた。

と、言ってもそんな仲がいいってほどでもないんだけど。

「それから、無口な魔女ちゃん」

「ただの占い師です」

リムは花に水をやりながら、視線も向けずにこう言う。

「でも、リムちゃんの占いは外れないからねぇ! 魔女と言っても過言ではないわ」

メリアは自分で言って深く頷いた。

「に、しても相変わらずバイト人数少ないわね」

「そんなに要らないよ。それに、増やしたら給料をその分あげなきゃいけないから」

ロアは欠伸しながら答えた。

「相変わらずケチってことね」

「そう」

そこは否定しないロアであった。