「まぁ、そういうことだから迂闊に手なんか出したら殺人犯だからね」
フィルシアは明るく恐ろしいことを言う。
「分かった? 殺人者のなりかけさん」
と、フィルシアはレイクに視線を向けた。
「お、俺っ!? そんな滅相もございやせんってっ!」
いつの時代の人物だよ。あたしは苦笑しながらレイクを見ていた。
「無防備そうだもんなぁ、お前さん」
イルはまじまじとあたしを見つめている。
「そうなんだよ、無防備すぎて……」
ラウルはため息をついた。
あたしは半眼でラウルを見つめ、
「ラウルって欲求不満なんじゃないの」
と、一言言ってやった。
ラウルの顔は一瞬にして真っ赤になる。
「やぁーだ、やらしー」
フィルシアは口に手を当ててラウルから一歩下がった。
「お前なぁー!」
「ラウル、お前最低だ」
レイクは非難の視線をラウルに向けた。
「年中欲求不満のテメェにだけは言われたかねぇよ!」
「失礼だなっ! 俺はお前とは違うぞっ!」
「俺がお前とは違うんだっ!」
などと言い合いしている二人。
あたしたちはプールの中で何を言い争っているんでしょう。
イルは呆れ顔で二人の顔に水をかけて口論を止める。
なんか、この人の呆れ顔見慣れちゃった気がする。
「「ぶはっ」」
「お前らは何しに来てるんだ」
さすが、イルはリーダー的存在だ。