「ナンパはお断り」
フィルシアはベっと舌を出す。
「ケチくせーな。でも、俺の本命はこっちだからぁ」
と、レイクはあたしの肩に手を回した。
ビキニを着ているあたし。
当然レイクには素肌を触られていた。
思わず鳥肌が立つ。
「お前な、人の彼女に気安く触るんじゃねーよ」
いつの間にかラウルはプールに入っていて、半眼であたしの肩に触れているレイクの手を弾き飛ばした。
「いたのかよ」
レイクは舌打ちしてラウルを睨む。
「リンちゃん、どの時代でもモテモテなのね」
フィルシアはにっこりと微笑んだ。
その台詞にレイクとイルは目を丸くする。
「お前さん、この時代の人じゃないのか?」
イルは驚いたような口調であたしに訊ねてきた。
あれ、言ってなかったのか。
「こいつは未来人。今から20年後のな」
ラウルはため息混じりに答えた。
「なっ、何で!? 時が違う奴とは付き合えないんじゃ?」
レイクは混乱しているらしく、滑舌が悪い。
「結婚は出来ないけど、付き合うことは出来るわよ」
フィルシアはにっこりと笑って説明を入れた。
「お前さん、それでいいのか?」
イルはまだ丸い目であたしを見つめる。
「あたしは、ラウルと一緒にいれるだけで幸せです」
あたしはにっこりと笑って本音を言った。
が、イルとレイクは顔を見合わせて大笑いし始める。
「……そりゃ、結構なこった」
レイクは息も絶え絶えにこう言った。
あたしは首を傾げる。何か変なこと言ったか?
あたしは心配になってラウルの顔を見つめた。
けれど、ラウルは苦笑してあたしの頭を撫でるだけだった。