「さすが、俳優さんの娘はいい物もらえるねぇー」
「ほ、ほっといてくださいよっ!」
あたしは慌てて右手を隠した。
「何、ダイヤの指輪? 父親からそんなもん貰えるのか、お前」
「仲、いいんだね! 羨ましい」
「ちっがーう! あたしだって、お父さんからこんなの貰ったの初めてだよ!」
と、いうより父からプレゼントを貰ったのなんて何十年ぶりだか分からない。最後に貰った誕生
日プレゼントはおままごとセットだった気がする…。
「お誕生日…ですか…?」
向こうの方で植木の花に水をやっていたリムがやって来る。リムはいつも甘ロリのような服を
着ていた。そのせいか、物凄く幼く見える。本名、不明。年齢、不明。だけど確実にあたしより
は年下。多分、この店で一番年下。星人は海王星人。深海のように真っ青な瞳があたしを見つめ
ていた。この子の本業は占い師なのだ。しかもかなりよく当たる。だけど、滅多に仕事以外は人
を占わないのだ。普段は口数が少ないが、突然意味深なことを言ったりするから怖い…。
「う、うん。まぁね」
あたしは苦笑のような表情を浮かべて頷いた。
「じゃ…特別占ってあげます…今日の運勢」
「ほ、本当!?」
リムはこくんと頷く。そして、ポケットからタロットカードを出した。