「普段、そんなにまずい物食べてるの?」

「弁当」

「毎日お弁当なのっ!? それでよく体壊さないねぇ」

あたしは呆れたようにラウルを見る。

「あたし、帰ったら毎日ラウルの家でご飯作ろっかなぁ」

冗談のつもりで、ふざけた口調であたしはこう言った。

「本当かっ!?」

が、ラウルは本気にしてしまったらしい。

「じょ、冗談で言ったんだけど」

あたしは目をぱちくりとしてラウルを見る。

「……だよな、悪い」

ラウルはため息をつく。

いや、あなた今物凄い期待してたよね?

すっごい目が輝いてましたよっ?

「別に、迷惑じゃなかったら行くけど」

あたしは若干照れながら、ラウルの顔を覗きこむ。

「来てください」

ラウルの目が輝く。

思わず目を細めてしまいそうなくらいキラキラと輝いた。

「あ、はい。行きます」

あたしは苦笑しながら答える。

どうやら相当まずい物食べてるみたい。

「ごちそうさま。ラウル、明日は何時からお仕事?」

「それが、昼から夕方までずっとあるんだよ。だから観光は朝しか出来ない。うまかった、ごちそうさん」

「いいえ。そっかぁ、また海で撮影?」

「いや、どっか建物の中」

「ふーん」

あたしはラウルの皿と、自分の皿をキッチンに持って行く。

「明日は何処行く?」

ラウルはあたしの隣に来て問う。

あたしは食器を洗浄機に入れた。

と、十秒も経たずに洗い終わる。

「うぅん、海がいいな。買い物とかはもう今日したから」

あたしは食器を元に戻しながらこう言った。

「海ね、でも水着持って来たのか?」

ラウルはそれを手伝いながらあたしに問う。

「フィルシアさんから水着渡されてるんだけど、やっぱ嫌だな」

「何で?」

「ビキニだから」

「いいじゃん」

「よかないわよっ!」