「可愛いー!」
「可愛すぎてお前にはもったいないな」
後ろからふと声が聞こえて来る。
「ホント、ホント! ……って! レオ! 何言わせんだ!」
あたしは振り向いて嫌味ったらしいレオを睨む。
彼のニックネームはレオ。
本名、レオンネ=ベルレール。
二十二歳。
近くの大学に通っているはずなのだが、毎日のようにバイトに来ている。
一見、不良のように見えるのだが……外見通り不良だ。
まぁ、不良の割にはそこまで悪い奴ではないんだけど。
天王星人で、瞳は水色に近い灰色をしていた。
こいつの第一印象、怖い。
目つきがおっそろしいったらありゃしない。
「ほれ、これほしかったんだろ」
レオは包みもなしに、むき出しのままあたしにネックレスをほおる。
「わぁお、あんたこれ買えたのぉ!」
「お前な、俺がそんなに貧乏に見えるか?」
「うん」
レオは目を細めてあたしを見た。
実はあたし、プレゼントをレオにリクエストしてたのだ。
いや、だってレオがあたしに何がいいって訊いてきたから、アクセサリー屋の中央にあった可愛いネックレスを思い出して言ってみたの。
その時は高い物を俺に要求するなってブーブー文句言ってたくせに、なんだ、ちゃんと買えたのね。
あたしはピンで前髪を留め、ネックレスをした。
「どお?」
「似合う、似合う!」
ライムは手を叩いてあたしを褒める。
お世辞でもライムに言われると嬉しい……。
と、急に横から素早くあたしの右手をとる者が現れる。
「へぇ、ダイアモンドの指輪……高そうだねぇ」
「ぎゃぁっ!」
あたしは慌てて右手を引く。
「ロアさん……」
この店の店長で、金の亡者。
遊び好きで、マジックなどが得意な変わり者。
本名、不明。
年齢、不明。
星人も分からないというミステリアスな人である。
星人はだいたい瞳の色で分かるはずなのに、この人の場合カラーコンタクトみたいなものをしているせいか、瞳が紫色なの。
紫色の星人なんて聞いたことない。