「ラウル、このお店がいい」

と、あたしは最後にアクセサリー屋を指差す。

ラウルの両手は荷物でいっぱいだった。

「あたしも持つよ」

あたしは悪いと思い、こう言った。

が、

「いいよ」

優しくラウルは微笑んで、首を横に振った。

「……ありがと」

罪悪感を覚えながらもあたしは持ってもらった。

アクセサリー屋にはハウワイらしいアクセサリーが沢山売っている。

「あ、このネックレスかわいー。でも、レオから貰ったばっかだからなぁ。違うの付けたら怒られるかぁ」

などと一人であたしは言っていた。

「このイニシャルのキーホルダ、ライムにいいかな」

そんなことを考えているうちにラウルは何かを買っていた。

「ラウル、何買ったの?」

店員さんが箱を包んでいる。

「秘密」

ラウルはにっと笑って教えてくれなかった。

「次さ、海行こう。撮影が海でやるんだ。もう夕方だろ」

「そうだね。ラウルの撮影現場見ててもいい?」

「ダメ」

ラウルは即答する。

「えぇー、何でよ」

「絶対ダメ。リンは部屋で、夕飯でも作ってて」

「夕飯? ホテルで食べるんじゃないの?」

「それも出来るけど、リンの料理の方が食いたい」

店員から商品を受け取り、ラウルはこう言った。

「うぅ、分かったぁ。作るよ」

「よし、うまいの作れよ」

「それはどうかなぁ」

あたしは笑って誤魔化した。

外の空は赤くなりつつあった。

その空が映った海はとてつもなく綺麗に輝いている。

こんな風景、写真でしか見たことなかった。