「うぅーん、久しぶりの日光浴ぅ」
所変わってホテルのプール。
フィルシアはビキニの水着を着て、ホテルのプールサイドの椅子に座っていた。
「ラウルのことはよかったの、フィルシア?」
と、仕事仲間のラフィアという天王星人の女性が、もう何度も訊いた問いをもう一度繰り返す。
女性の名前はリーゼ。
女性はフィルシアと何年も同じ事務所で女優をしていて、フィルシアとはライバルであり良き友達でもあった。
「本当にリーゼはしつこいなぁ」
フィルシアは呆れたように、リーゼを睨んだ。
「フィルシアとラウルあんなに仲良かったのに。あんな花屋のお嬢ちゃんに持ってかれて悔しくないわけ?」
「だって、リンちゃんを連れて来たのあたしだし。それにね、あたしはラウルに対しての恋愛感情なんて持ってない。ただ、あいつが幸せならそれでいいのよ。幼馴染として、ずっとあいつの笑顔を見届けていたいの」
フィルシアはにっこりと微笑んでこう言う。
「フィルシア」
リーゼはそんなフィルシアを同じような表情で見つめた。
「でも、それも無理かも知れないわね」
「もぅ、そういうこと言わないで! 怒るよっ!」
と、リーゼは急に涙ぐみながらフィルシアの腕を掴む。
「だって、本当のことだし。自分でもね、最近分かるようになってきたの。あたしはそう長くないって。この前入院したとき、本当に苦しかった」
「ねぇ、長生きしてよね。フィルシアが死ぬなんて考えられないんだから! あんたが死んだら、誰があんたの代わりになるのよ。あんたの代わりは誰もいないんだからね!」
フィルシアは一生懸命なリーゼを苦笑で見つめ、
「分かってるわよ」
と、頷いた。