フィルシアにあたしは言われたとおり水色のワンピースを着て、白い帽子を深々と被り、ワンピースに合わせたヒールが高いサンダルを履いた。
「似合う、似合う~! 可愛いよっ」
フィルシアは嬉しそうに微笑む。
「これ、高そうじゃない?」
あたしが言ってるのは勿論値段。
結構しそうですぞ。
「うーん、全部で十万ちょっとかな」
あたしはむせ込んだ。
じょおっだんじゃないっ!
服ごときで十万っ!
「か、返すっ」
「いいよ、それモデルさんが着るはずだったんだけど、気に入らなかったみたいで捨てられる寸前だったの。でも勿体ないからあたしが貰ったんだけど、やっぱリンちゃんの方が似合うわぁ」
「いいの?」
「勿論。他に入ってるのも全部あげる」
フィルシアはにっこりと笑ってこう言う。
女優さんってこんなの貰えちゃうのねぇ。
「あ、ありがとう」
「いいえ。ほら、早く行きましょ。ラウルたちは先にハウワイ島に行ってるはずだから」
と、フィルシアはタイムマシーンから降りた。
場所は空港。あたしは8月の太陽を見上げた。
「そうだ、フィルシアはラウルが撮影中のときあたしといるんだよね?」
「ううん、あたしだって仕事で行くんだもん」
あたしは目を見開いてフィルシアを見つめる。
「あ、あたし一人なのっ!?」
「そう、撮影現場見ててもいいけど、今回のドラマは恋愛だからなぁ。あんまり見ない方がいいかもね」
「何で?」
「女優さんにヤキモチ妬いたら大変」
「やっ、妬かないっ!」
「ふぅん、ならいいけどねー」
フィルシアとあたしはチケットを従業員に渡して、ハウワイ島行きのエレベーターに乗る。
ここでは、海外にエレベーターで行くのだ。
光の速さより速いスピードで、一瞬にして目的地に着ける。
そうこうしているうちに、もうハウワイ島の空港に着いていた。