「ロアさんっ! リンはっ!?」

ロアは苦笑して、

「やられた」

と、参ったように両手を上げた。

レオは絶望したように目を右手で覆う。

「二人がついていながら何してるのよぉ! 警察に言わなきゃっ」

「いいよ、拉致したのはラウルさんの幼馴染だから。リンちゃんも直ぐ帰ってくるだろ」

ロアは花屋のエプロンをして支度始める。

「おはようございます」

と、店の入り口で消えかかりそうな声が聞こえて来る。

「おはよ、リムちゃん」

「リンさん、行きましたか」

無表情でレオに問う。

「お、お前、あいつが行くこと知ってたのか!?」

リムは首を横に振る。

「予想してただけ。それから、もう始まったんです」

「何が?」

ロアは不思議そうにリムを見つめた。

「いつか分かります」

リムはエプロンをして仕事を始める。

三人は首を傾げ合った。

と、電話が鳴る。

ロアはため息をついてそれに出た。

「はい、こちらフラワーショップ……」

『ひっさしぶりぃ~!』

電話の向こうの声を聞いてロアは咳き込んだ。