「……アさん! ロアさんっ!」
耳元で叫ぶ声。
その声の主はライムだった。
「もう、ロアさん! 起きて下さいよっ! とっくに開店時間になってるんだからっ!」
「……へ?」
ロアは寝ぼけている頭をフル回転させた。
そして、顔を青くする。
「あ、あぁっ!!」
ロアは顔を真っ青にして机の引き出しを見た。
が、そこにはやっぱり封筒はない。
「どうかしたんですか? こんなとこで寝てるなんて、ロアさんらしくない」
「眠らされたんだよ……」
「は?」
「あの、悪女っ! 今度会ったらただじゃ済まさんっ!」
珍しくロアが怒っていることにライムは驚いていた。
「どうかしたんですか?」
「くっそぉ、リンちゃんが拉致された」
ライムはロアの台詞に目を見開く。
「ど、どういうことですかっ!? リンちゃんが拉致っ!? ロアさんがついていながらぁ!?」
ライムはロアをバシバシと叩く。
「あのねぇ、体が弱い女の子にキスされて、どうやって抵抗しろっていうんだよ」
「はっ? き、キスっ!? キスごときでリンちゃんは……ロアさんの馬鹿ぁっ!」
「ごときってねぇ、こっちだって別に好きでキスした訳じゃないよ。どうしても動けなかったんだ。そしたら睡眠銃でやられた」
と、言い合っているとレオが店に駆け込んできた。