あたしはむくれながらフィルシアのタイムマシーンに乗っていた。
「そんな怒らないでよ。ね、楽しみましょ」
「あたし以外の人は明日も明後日も仕事なのに、あたしだけ楽しむなんてできない」
「まぁまぁ。お詫びにお土産買ってあげればいいんじゃない?」
「分かってるよ。でも、どうしてフィルシアはあたしがいる場所が分かったの?」
フィルシアはにっこりと笑い、
「あなたが着てた服の襟に追跡装置を付けさせてもらったの」
と、無邪気にこう言った。
あたしは目を見開いて着ていた服の襟を確認する。
「……フィルシア!」
あたしは追跡装置を摘み上げてフィルシアを睨む。
「ごめんねぇ、あたしとリンちゃんが初めて会ったときにあたし、あなたに抱きついたでしょ。そのときに持ってた追跡装置を付けさせてもらったの」
「あ、あなたいつも追跡装置なんて持ち歩いてるわけ!?」
「たまたまよ。それより、服着替えた方ががいいんじゃない? 寝間着でラウルに会うわけ?」
あたしは顔を赤くして服を取り出す。
「あ、違う、違う。あなたに着てほしいのはこっち」
と、フィルシアは圧縮されたバッグをあたしに渡す。
「……自分の持ってるけど」
「こっちの方がいいの」
あたしはため息をついてバッグを開けて圧縮状態から解く。
「うーん、水色のワンピースが似合うかな」
フィルシアはバッグから勝手に服を取り出し、あたしに渡した。
「なんか、水着とか入ってるんですけど」
あたしは眉を潜めてビキニの水着を取り出す。
「ほら、ハウワイ島といえば海でしょ! ラウルも撮影を海でやるの。撮ってる間、遊んでていいから」
それは嬉しいけどビキニは嫌じゃ。
と、あたしは顔をしかめていた。
「早く着替えてよ」
「はいはい」
言われるままにあたしは着替え始めた。