「お邪魔します」
レオとあたしはロアの家のマンションに入り、鍵でロアの家に入り込んだ。
そういえば、ロアの家に初めて来たわ。意外と高級なマンションに住んでるんだな。
「……何でレオがロアさんの家知ってるの?」
あたしは不思議に思った。
だって、あたしが知らないのにどうしてレオがこの家を知ってるのよ?
「鍵に記憶チップが組み込まれてあった」
レオはあたしに鍵の表面を見せる。
と、何やら小さなチップが組み込まれていた。
記憶チップとは、場所なんかが分からなくても、その人が持った物が記憶した場所に導いてくれるチップである。
ロアさん、あの短時間で記憶チップを埋め込んだのか。
レオとあたしはとりあえず荷物を置く。
そして、なんとなく沈黙になってしまった。
「……着替えれば?」
レオは横目であたしを見て言う。
あたしは口を手で押さえ、首だけ縦に振った。
何を言い出すか分かったもんじゃないわいっ。
「と、隣の部屋で着替えるから……覗いたら殺す」
あたしはばっと再び慌てて口を押さえる。
勿論、こんなこと言うつもりなんてなかった。
ただ心で思ってただけなのにぃっ!
「お前なんか覗いたって、何の価値もねぇだろ」
が、馬鹿レオは大欠伸してソファに寝転んだ。
「うちのお父さんそっく……むぐっ」
誰か止めてくださいっ!
「ロウンさんにそっくりなら別に悪い気はしねぇけど」
「態度だけ似てんの……むぐぐっ!」
「お前、わざとじゃねぇよな?」
あたしは慌てて首を横に振った。
「……あと4時間か」
レオは時計を見上げて呟く。
そんなレオをほっといて、あたしは隣の部屋にバッグを持って逃げ込んだ。