「休憩室って何処?」

「教える訳ねぇだろうが」

レオはフィルシアを睨む。

「仕方ない。自分で捜すわよ」

と、フィルシアは店の中を歩き回り始めた。

「あー、ちょっと。あんまりいじり回さないでよー」

ロアはフィルシアを追うこともなくこう言う。

「バレたらまずいんじゃないですか?」

レオはロアを半眼で見つめた。

「鍵かけてあるから平気。ほら、僕の家の鍵。今日は家に帰らないから、リンちゃんに貸しとくよ。ご飯は勝手に冷蔵庫の中の使っていいから」

ロアはフィルシアに聞かれないように小声で言う。

「はむはほーほはひまふ(ありがとーございます)」

「レオは、リンちゃんの傍にいてもいいけど」

「ふあふあッ!! ふぇっふぁいふあッ!! (いやいやッ!! 絶対いやッ!!)」

あたしは必死に首を横に振る。

だって、本当のことしか言えない今、レオに何言うか分かったもんじゃないっ!

「なんだよ、俺に聞かれちゃまずいことでもあんのか」

あたしは首を縦に振る。

「じゃ、ロアさん。俺、こいつの面倒見ますから」

「はーい、よろしくぅ」

「ひふふふふひふひへー!! (人の話をきけぇー!!)」

と、あたしが叫ぶとフィルシアの「あ、あったあった」という嬉しそうな声が聞こえて来る。

「ほら、早く行って。ここで止めとくから」

「分かりました」

レオはあたしの口を塞いだまま歩き出した。

あたしはロアに救いの目を向けるが、

「Good luck」

と、手を振られた。