「あたしも……ラウルが好きだから。凄く嬉しい。ううん、凄くなんてもんじゃない。言葉で言い表せないくらい嬉しいよ。でもさ、あたしはやっぱり未来人だから、ラウルとあたしが付き合うと、ラウルとあたしの子供たちが消えちゃうでしょ?」

そう、時が違う人物との結婚は認められてない。

何故なら、未来が変わってしまうからだ。

未来を変えてしまうのはとても危険で、歴史が一つ変わってしまうかも知れないのだ。

「……分かってる」

「ねぇ、ラウル。ラウルは別れが来たとき、素直に別れられる? あたしは自信がないよ。付き合ってる間に何があるか分からないし」

「大丈夫」

ラウルは真っ直ぐとあたしを見つめてこう言った。

「素直に別れられるかは分からねぇけど、ときが来ればそのとき考えれば大丈夫だ。それでもお前は嫌か?」

あたしはしばらくラウルを見つめていた。そして、

「ラウルがそう言ってくれるなら……あたしも大丈夫だよ」

と、にっこり微笑んだ。

「ああ」

ラウルはあたしの手をぎゅっと握った。

あたしは幸せボケしたのか、頭がくらくらして来た。

そのまま頭はラウルの肩に乗せられる。

しばらく……ううん、出来ればずっとこうしていたい。

こんな時間が永遠と続ばいいと思う。

でも、もしかしたら、目覚めたら全て夢だったりするかも知れない。

「ねぇ、ラウル」

「あん?」

「……もしこれが夢だったら、一生あたし目覚めたくないな」

ラウルはぷっと笑い、

「夢なんかじゃねぇよ」

と、あたしの唇に唇を重ねた。

幸せな時間。

心から愛おしい。

夢じゃないとやっと気付けた。

「……ん」

長いキスを終え、あたしはそっと目を開ける。

と、頭上からバーンという音が降ってきた。

「あ、花火っ」

あたしは空を見上げる。

花火を見ながら、あたしは心の底から願った。

どうか、どうかこの花火のように消えないで。

ラウルに対する純粋な気持ち。

最後になってもこの気持ちを忘れないように……。