「だ、大丈夫?」
「……あのねぇ、あかの他人にそういうことを簡単に言うんじゃないの」
ラウルはゴホゴホとむせながらこう言った。
「……だって、本当のことだもん」
「いや、拗ねなくってもいいだろうが」
「拗ねてませんっ!」
あたしはベッと舌を出す。
「……なんか、そっくりだな」
ラウルはあたしをじっと見つめながらこう言った。
「何が?」
「幼馴染に。拗ね方も、怒り方も」
「あたしはその幼馴染さんじゃないからね」
「分かってるよ」
ラウルは苦笑し、一口ビールを飲んだ。
「何で……?」
あたしはその横顔を見つめ、一言一番訊きたかった質問をしてみる。
「あ?」
「何で、お祭りにあたしなんか誘ってくれたの?」
あたしはじっとラウルを見つめる。
あたしを誘ってくれたのは、その幼馴染さんにそっくりだから?
だからあたしを祭りに誘ったのだろうか。
「何でって……一緒に行きたかったから」
「何で?」
「理由が必要か?」
「必要」
ラウルは本当に困ったような表情を浮かべた。
あたしはそうなラウルをじっと見つめ続ける。
「…好き…だから」