「なんか食べる? 無料券、沢山取ったし」
「うんっ」
「綿飴あるけど、食う?」
「食べる食べる!」
あたしは首を縦に振る。
「綿飴二つ」
「あいよ」
あたしはラウルから綿飴を一つ受け取った。
そして、道を歩き出す。
「お祭りってこんなに楽しいんだぁ」
「来たことないのか?」
「うん、あたしの家は色々忙しかったから」
「へぇ。もったいないな」
「他にももっと何かある?」
「あるよ。何やりたい?」
「輪投げだって。ラウル、得意?」
「俺、祭りの出し物の中で苦手なものないから」
ラウルは鼻高々にこう言う。
「ほんとぉ? じゃ、あたしが欲しい景品ラウルにとってもらおっと」
「セコいな」
ラウルはこう言ったけれど、顔は笑っていた。
「人間、セコいことしないと生きていけないってお花屋の店長が言ってたもん」
ロアは、セコいことしないと金儲けは出来ないと思ってる人種だからな。
「変わった店長なんだな」
ラウルはぷっと笑ってこう言った。
確かに、店長以外にもおかしな人は沢山いるけど。
「よし、やるか」
綿飴を食べ終え、ラウルは棒をゴミ箱に捨てた。
あたしもそれに習って捨てる。
「うん」
あたしたちは輪投げの屋台に向かった。