午後、あたしは家にあった浴衣を着てタイムマシーンで2098年に飛んだ。
に、しても……浴衣着てタイムマシーンに乗るって、ちょっとアンバランスだと思う。
そうだな、浴衣着て車に乗るようなもんかな。
甚平姿のラウルは、アパートの前に立っていた。
あたしは下駄を鳴らしてラウルの所に向かう。
「こんばんは。すっごくよく似合います!」
あたしはにっこりと笑ってこう言った。
っていうか、きっとラウルは何を着ても似合うと思うよ。
ラウルは照れるように笑い、
「ありがとう。リンも似合ってる」
「本当ですかぁ? またからかってるんでしょ」
あたしはラウルの顔を覗きこむように見る。
「本当、本当。似合ってる」
ラウルは苦笑しながら答えた。
「……嬉しいです。ラウルみたいな人に言ってもらえて」
あたしはにっこりと笑う。
「リンはボーイフレンドだとかいないのか?」
「うーん……皮肉屋のボーイフレンドならいる……」
「皮肉屋ね」
「行きましょ。どこですか?」
「あぁ、こっち」
ラウルは方向を指差して歩き出した。
あたしはその後を歩く。
神社は意外と大きな神社で、物凄い数の人たちで賑わっていた。
太鼓の音や、笛の音が鳴り響く。
昔ながらのお祭りだ。