「ったく」

「リムちゃん、リンちゃんのことどうにかならないの?」

ライムは無言で掃き続けるリムに問う。

「……無理」

リムは一言こう言った。

「あ、そう」

ライムは、苦笑しながら返事をする。

と、突然リムはライムの方を向いて、

「人の感情は、他人がどうこうできる問題じゃない。けど、その人に助けを貸すことはできる。過去の人物とは結婚できない。そのことはリンさんもラウルさんも知っているでしょう。それでも付き合うだけとなるんだったら、いつかは辛い別れが訪れる」

「辛い……別れ」

「出会いがあって、別れがある。時とは本当に残酷なものです」

リムは、少し上を向いてこう言った。レオは呆然とリンの後ろ姿を見つめ、

「それでもあいつは、今までどおり笑うことができるだろ」

ライムはレオの横顔を見つめた。

「リンは強いから。どんな別れが来ても、また笑顔に戻るだろ」

「……それは、あなた次第です」

リムは箒をを再び動かし始めた。



□■□■□■



あたしが着いたとき、ラウルはまた家の外にいた。

あたしは今度は躓かないように気をつけながら、ラウルの方に向かう。

「こんにちは」

「今度は転ばなかったね」

ラウルは、あたしをからかうような表情でこう言った。

「……この前はすいませんでした」

と、あたしは頭を下げる。

「ちょっとからかっただけだよ。悪い、気にしなくていいから。いくら?」

「七百円です」

ラウルは財布からお金を出し、あたしに七百円渡す。

あたしは、ロムエルの植木をラウルに渡した。

「ありがとうございました」