それから2日後、またラウルから注文があった。
『久しぶり。って言っても、そっちは2日しか経ってないんだよね』
苦笑気味の声が電話に伝わった瞬間、直ぐにラウルだと分かった。
「あ、えと。ラウルさ……」
『ラウルでいいって。ロムルエルの植木が欲しいんだけど、あるかな』
「ロムルエルですね。いつお届けすればよろしいでしょうか」
『2098年、8月15日。時間は……昼の2時で』
「分かりました。直ぐお届けします」
あたしが受話器を置いた瞬間、ロア、ライム、レオの視線が痛かった。
なんだか、ラウルという名前に酷く反応するのだ。
リムは無反応で、ただ枯葉の掃除をしているだけ。
「えと、ロムエルの植木はどこだったかなぁ」
あたしは無視して、レオの直ぐ横を通り過ぎた。
「……ラウルか?」
レオはあたしに訊ねる。その瞬間、あたしは立ち止まった。
「うん」
「気を付けて行けよ」
「分かってるよ」
あたしは、再びロムエルの植木を探しだした。
□■□■□■
「心配?」
ライムはレオの傍によって問う。
「別に」
「素直じゃないんだから。そんなうじうじしてたらリンちゃん、ラウルさんって人に取られちゃうかもよ」
レオは顔を真っ赤にし、
「何言ってんだか」
と、冷静に言い返す。
「顔は正直なんだねー」
ロアは、むふっと不気味に笑ってこう言う。
「ロアさんっ」
レオはロアを睨んだ。
ロアはレオから視線をはずし、
「さぁて、お金の計算しよぉっと。この時間が一番好きなんだよねぇー」
と、るんるん気分でレジに向かって行った。