「さて、何があったか言ってみろ」
「うるっさいな、あんたなんかに関係ないでしょうが」
あたしは俯きながらこう言った。
レオは哀しそうな表情を浮かべる。
何故そんな哀しそうな表情を浮かべるのか不思議だった。
レオは無言であたしの前から去り、お茶を沸かす。
約3分くらいの沈黙が訪れた。
お茶が沸けるコポコポという音だけがする。
そして、レオはお茶を入れて、あたしの目の前に無言で置いた。
「……ありがと」
あたしはまだ俯いたままこう言う。
と、頭に何かが乗せられた。
あたしは上を見上げる。
「俺には関係ないことかも知れねぇけど、力にはなれるぞ」
レオはあたしの頭に自分の手の平を乗せてこう言った。
あたしは再び俯き、迷う。
「ラウルって客になんかされたか?」
「違うっ!」
あたしは勢いよく首を横に振った。
「……逆」
「逆って?」
「……したの……あたしが……」
「……何したんだ?」
あたしの顔は炎が出そうなほど熱かった。
きっと、真っ赤なんだと思う。
あたしは黙ってさらに俯いた。
こんな気持ちは初めて……胸が物凄く苦しくて、切ない。
「……レオ」
「あ?」
「……今、好きな人いる?」
「……はい?」
何訊いてんだ、あたしは。
レオが真面目にこんな質問に答えるなんて思えない。
「……いるよ」