「悪い、純粋にそんな自分の失敗を恥ずかしがってる子、初めて見たから」

「わ、笑わないでくださいよ」

あたしの顔はますます熱くなる。

「ごめんごめん、またお願いするよ。君、名前は?」

「リンって呼ばれてます」

「リンね。俺のこともラウルって呼んでいいから。今日は助かったよ。友達が病気だったんだけど、今日が退院だったことを今さっき思い出したからさ」

「病気だったんですか」

「まぁ、しょっちゅう体壊すんだけど。妹みたいな奴だから、ちゃんと退院のときぐらい花でもやらないと拗ねるんだ」

ラウルは苦笑気味にこう言う。

「ラウル……さんの大切な人ですか?」

「ラウルでいいって。幼馴染なんだ。別に特別って訳じゃない」

「……そうですか」

内心喜んでいる自分がムカつく。

「じゃ……その人に、お大事にって伝えておいてください」

「ああ、ありがとう」

あたしは一礼して足早にタイムマシーンに戻った。