あたしが着いたときには既にラウルは家の外にいた。

あたしは急いでタイムマシーンから降り、駆け足でラウルの方に向かう。

「すいません」

と、花束を抱えてラウルに寄ると、直ぐ近くの石に躓いてバランスを崩す。

「きゃっ」

た、倒れる!

と、思った瞬間トサッという音が近くで聞こえた。

あれ、痛くない。

「大丈夫か……?」

直ぐ近くで聞き覚えのある声。

え、えぇ!?

もしや、あたくし抱きついてますぅ!?

「す、すいませんっ! 本当にすいませんっ!!」

あたしは慌ててラウルから離れる。

顔がすっごく熱い。

なんなんだ、このベタな展開はっ! 

ラウルはそんなあたしを苦笑しながら見つめている。

「静かに。まだ6時だから」

「あっ」

あたしはばっと口を押さえる。

「あっ、あの……お花は大丈夫なのでっ!」

あたしはコクリの花束をラウルに渡した。

「ありがとう。いくら?」

「い、いいですっ! その……本当に、ごめんなさい」

「いや、それはまずいだろ……ちゃんと払うから」

「いえ、失礼なことしたあたしが悪いので」

「そんな気にしなくていいって。怪我は?」

うぅ、お客様の顔がまともに見れないとはっ!

「あ、ありません」

「ならいいけど」

「あ、あの……またお願いしますね」

あたしは俯きながらこう言う。

ラウルはそんなあたしを見て、ぷっと噴き出した。