「顔、赤かったねぇ」

ロアはリンが去って行った方を見ながらこう言った。

「……ですね……リンちゃん、熱でもあるのかな……」

ライムは心配そうな表情を浮かべて首を傾げる。

「帰って来たときは多分真っ赤だろうけど」

「どういうことですか?」

「ライムちゃんは好きな人に会ったとき、顔真っ赤になんない?」

「……なりますけど……それとリンちゃんのこととどう関係があるんですか?」

ロアはぷっと笑って、

「君さ、よく鈍いって言われない?」

と、問い返した。

「……言われます」

ライムはしょんぼりしたように俯く。

「リンちゃんにも、好きな人ができたってことだろ。それも、過去の人間に」

ライムははっと顔を上げて驚いたような表情を浮かべた。

「過去の人間との恋愛はしちゃダメなんじゃっ……!」

「恋愛はいいんだよ。ただ、それ以上はダメってだけでね」

「あっ! それでリムちゃんは禁じられた恋愛がどうのこうのって言ってたのかも知れないっ!」

「女神と……人間ねぇ……。まぁ、どんなことになろうとそれがリンちゃんの人生だから、僕たちは何も言えないけど」

ロアはふわぁ、と大きな欠伸をした。