いつの間にか、再び溢れ出す涙。

ロアの言葉が凄く嬉しかった。

でも、自分が消えてしまえば皆の記憶の中に、あたしは存在しなかったことになる。

そうすれば、必要とされることもなくなるのだ。

「……ロア……さんっ……あたし、もうどうすればいいか分からないんですっ……」

泣きじゃくるあたしを見てロアは優しく微笑み、そっと抱き寄せた。

「大丈夫、僕がついてるから……」

全ての時間が、このまま止まってしまえばいいと思った。

今はただ、ロアの腕の中にいさせてほしい。

落ち着くまで……時間が許してくれる限り……。

あたしは、ロアの腕の中で泣き叫んでいた。

「ラウ……ルっ……!」

あたしは最低だ。

ロアの優しさを利用して、この悲しみを紛れさせようとしてる。

そんなことロアだって知っているはずなのに、ロアはあたしを突き放そうとはしなかった。

「大丈夫、大丈夫」と、優しくあたしの頭を撫でて、力強く抱きしめていてくれる。

すると、また咳が込み上げてきた。

苦しくて、あたしは思わず蹲る。

「リンちゃん、平気!?」

視界に入るのは、真っ赤な血と心配そうにあたしを見つめるロア。

あたしはそのまま意識を失った。